金貨 2008 9 27

 時事通信社のニュースによると、
アメリカでは、金融不安を背景として、
金貨の需要が急激に高まり、注文が殺到して在庫が底を突いたというのです。
 実は、私も金貨を所有するようになったのです。
日本政府は、巨額の財政赤字。
アメリカは、政府どころか、
折から深刻化しているサブプライム危機で、
民間部門も巨額の赤字を抱えていると言えるでしょう。
こうなると、紙幣に対して、漠然とした不安感を抱くのは当然でしょう。
 私は、最初は、金貨に対して、抵抗感があったのです。
何だか、太古の昔に戻るような感じがしていたのです。
(太古の昔は、金貨が貨幣だった)
 金貨を所有するようになったのは、ある本がきっかけです。
その本には、こう書いてありました。
「政府が絶えず浪費を続ける中では、
経済は繁栄できないことを証明した古代ローマ人は、
ある意味で、最初のケインジアンであった。
 通貨への信認が失われ、また通貨の質が実際に低下するのに伴って、
商品を生産することよりも、投機の方が魅力的になってしまった。
金は東方に流失し、ローマ帝国の衰退は決定的なものとなった」

Gold Wars 2007 10 14

「いまなぜ金復活なのか」 徳間書店
フェルディナント・リップス著 大橋 貞信訳

 多くの人が、「今さら、金本位制に戻れと言われても」と思うでしょう。
実は、私も、この本を手に取った時、そう思いました。
 しかし、この本の序文に、次のような文章(引用文)を発見し、興味を引きました。
「金本位制という制度下でなければ、
インフレーションという名の略奪から、我々の資産を守ることはできない。
 我々の財産を守るには金が欠かせないのである。
このことをしっかり理解していれば、
政治家たちが金本位制に反感を抱いている理由が容易に理解できるだろう」
(1966年 アラン・グリーンスパン)
 たとえば、あなたが、お金を使いすぎてしまったとする。
財布の中には、ほとんど、お金が入っていない。
あなたは、途方に暮れるだろう。
 しかし、あなたが紙幣を印刷できるならば、
そういう悩みは、一瞬にして解決するだろう。
お金がなくなれば、紙幣を印刷すればよい。
 こういう問題は、日米両政府に言えることでしょう。
とりわけ、アメリカ政府の財布には、穴が開いているようなものでしょう。
これでは、いくら稼ぎのよいアメリカ経済でも、耐え切れないでしょう。
財布に穴を開けている虫は、イラク戦争の経費です。
それは、もはや天文学で使うような数字になってしまったでしょう。
 もうひとつ、興味深い文章を取り上げましょう。
「古代ギリシアの都市国家群とは対照的に、
ローマ帝国は貨幣の重量を偽るという誘惑に打ち勝つことができなかった。
小さくしたり、数を増やしたり、質を落としたりと、
貨幣をいじくりまわし、最終的には使い物にならなくしてしまったのである。
 政府が絶えず浪費を続ける中では、
経済は繁栄できないことを証明した古代ローマ人は、
ある意味で、最初のケインジアンであった。
 通貨への信認が失われ、また通貨の質が実際に低下するのに伴って、
商品を生産することよりも、投機の方が魅力的になってしまった。
金は東方に流失し、ローマ帝国の衰退は決定的なものとなった」
はたして、現代のローマ帝国であるアメリカの行く末は、いかに。
 金本位制はともかく、私が著者に共鳴できるものは、以下の文章です。
「現代は歴史、特に財政や金融の歴史に関する研究が軽視されがちだが、
実は今ほど過去の経験を尊重し、
真摯に受け止める必要が増している時代もないだろう」
 なぜ、歴史は繰り返すのか?
人間は反省をしないと、同じ過ちを犯す。
その人間が歴史を作っているから、歴史は繰り返すことになる。
 さて、もうひとつ著者に共感できる点があります。
一般的に、投資家というものは、歴史だけでなく、芸術も理解できない猛獣が多い。
(利益に目がくらんで、芸術品ですら、投資の対象にしてしまうほど)
序文には、こうあります。
「初めて日本を訪問して、私は日本の文化、伝統に魅了されるあまり、
帰国後には、別荘に日本式の風呂を設えさせました。
そんなことをしたくなるのも道理で、日本は私が知る限り、
最も美しい国の一つなのです」
 私は、金投資に興味はありませんが、金細工には興味があります。
若い頃、金沢市を訪れた時、金箔工芸品、
正確には金沢箔工芸品には驚きました。
美しさという言葉を超えるものがありました。

















































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